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台湾紀行 街道をゆく40 を読みながら思うこと

今まで積読になっていた、司馬遼太郎の『台湾紀行 街道をゆく40』を読んでいる。

これまで、どこへ旅行するにも、ガイドブックではなく、その国について書かれた紀行文やら小説を読むことにしていた。
イタリア旅行の前には、塩野七海を読み漁った。

台湾に来る前、いや、台湾企業に勤める前に、実は早々に購入していた。
理由はないが、今まで手が伸びなかったのだ。


それはおそらく、中国の歴史が大好きで、北方風の中国語が好きで、いつかはまた北京に戻りたいという気持ちがあって、
このままなし崩し的に台湾につかることを避けたいという、まったく理屈の通らない心理が働いたのだろうと、今にしてみれば思う。


それでも、この本を常に手元においてきた。読まないのに、手が伸びないのに、いつでも目に入るところに置いていた。


それが今、ようやくこうして読む気になったということは、つまり、台湾のことをもっと知りたい。
中国も好きだけれど、台湾にきちんと向き合いたいと、そう思い始めたのではないかと思う。

台湾に向き合う第一歩として、この本があったのだと、考えている。



さて、本書の初出は1993年~1994年の雑誌連載であり、その年の11月に単行本が発売されたとある。

1993年の連載なので、それより少し前に取材に訪台していたのではないかと思う。


台湾の変化はめまぐるしい。
20年以上も前なんて、その頃と今ではまったく様相が変わっているのではないか。

そんな内容だったら、正直読む気がしない、そう思いながらページをめくると。


なんとも司馬遼太郎らしい、まずは台湾の歴史の紹介から入っていくのだった。
たまにある当時の台湾の記述も、その時は台湾なんてひとつも知らなかった自分にも「思い出せる」情景ばかり。
前半は主に李登輝という印象。後半に南部などの建物やら紀行文らしいものが入る。
ずるずると、ひきこまれていった。



歴史小説家の書く文章は、淡々としているのに、熱をもっている。
正確な内容は忘れたが、宮城谷昌光がこのようなことを言っていた。

飄々とした語り口の中に感じるその熱は、もちろん作家の技量でもあるのだけれど、
やはり歴史がもつエネルギーなのだろう。

児玉源太郎や後藤新平のエピソードもとても魅力的であった。







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